
団体交渉対応事例の紹介
製造業を営むY社は,従業員約300名が勤務しており,社内に労働組合はなく,これまで労働組合との関り合いはありませんでした。ところが,突如,Y社の従業員約40名で社内組合を結成したとして,社内の組合から組合結成通知書と団体交渉申入書及び要求書が届きました。
団体交渉申入書及び要求書には,未払残業,有給休暇の取得,職場環境の改善,休憩室の掲示版の利用,賞与の増額要求,経営の参画など様々な事項が記載されており,対応に苦慮したY社は弁護士に依頼することにしました。
弁護士からY社に要求事項に応じなくてよい事項,拒否することで不当労働行為になり得る事項などアドバイスし,組合に対する回答書を作成の上,弁護士が同席の上で団体交渉に臨みました。
当初は,組合に加入しなかった従業員による組合に対する反発も大きく,Y社を擁護する第二組合の結成などの動きまでありましたが,弁護士からのアドバイスにより,Y社が法律に乗っ取り適切に組合対応を行っていくことで,会社内で組合に対するアレルギーがなくなっていき,また徐々に団体交渉で協議することもなくなっていき,組合を結成した従業員においてY社内で組合を組織する意義が薄れていったようで,賞与についての妥結を切っ掛けとして,組合結成から約半年程度で組合は解散しました。
組合対応の注意点
労働組合には憲法上,団結権(使用者と対応な立場に立つために労働組合を結成又は加入する権利),団体交渉権(労働組合が労働条件などについて,使用者と交渉する権利),団体行動権(デモやストライキなどで抗議する権利)が保障されています。
そして,労働組合法上,①不利益取り扱い,②団体交渉拒否,③支配介入は不当労働行為として禁止されております。
もっとも,労働組合のいわれるがままになっていては会社の経営が阻害される場合もありますので,いかなる場合に不当労働行為に該当するのかを明確に見極めることが必要であり,会社内での対応が難しい場合には,組合対応に精通した弁護士からのアドバイスが不可欠といます。
詳しくは「団体交渉における不当労働行為とは?その種類と具体例について弁護士がわかりやすく解説!」をご覧ください。
不利益取り扱い
組合に加入したことを理由に解雇や降格した場合には不当労働行為に該当する可能性が高いですが,たとえば,解雇されることを察知した従業員がユニオンに駆け込み,組合から会社への組合加入通知書と会社からその従業員に対する解雇予告通知書とがほぼ同時になされるなど(組合加入通知書とは無関係に解雇通知書を出したのか,組合からの加入通知書を受領したので慌てて解雇通知書を出したのかなど),不当労働行為に該当することが微妙な案件も多くみられます。
このような案件では,会社内において不当労働行為には該当しないこと証明することは難しい場合もあり,組合との交渉の仕方によっては会社に不利な方向に導かれることにもなりかねませんので,組合対応に精通した弁護士からアドバイスを受けることをお勧めします。
団体交渉拒否
社内で組合が結成された場合や従業員が外部の組合に駆け込んだ場合などには,ほぼ必ず団体交渉申入書が届きます。
この団体交渉申入書を無視してしまうようなケースが稀に見受けられますが,不当労働行為となり,労働委員会への救済申し立てや民事訴訟が提起される恐れがありますので注意が必要です。
もっとも,組合からの団体交渉申入書に記載された日程や開催場所どおりに,団体交渉を開催しなければならないというものではございません。
団体交渉を実施するための準備は会社側においても必要ですし,会社が適切な準備をすることで団体交渉が充実することにもつながりますので,一定の範囲で開催日時や場所を変更したとしても不当労働行為に該当するとはいえません。
また,団体交渉において,組合から労働協約書の作成を求められることがありますが,記載内容に会社が拘束されますので注意が必要です。記載内容によってどのような法的拘束力が生じるのか,会社から修正の提案をする場合にはどのような記載内容が適切か,弁護士などの専門家に相談されることをお勧めします。
支配介入
会社が,組合を脱退させるために組合員に働きかけを行ったり,組合結成を非難したりするなどの行為は不当労働行為に該当する恐れがあります。
また,先ほどの例でいえば,労働者が自主的に第二組合を結成するのであれば会社はこれに介入できませんが,会社と相談しながら,第一組合に対抗するために第二組合を結成することになれば不当労働行為に該当し得ます。
さらに,会社の施設に組合のポスターを貼ることを禁止できるのか,事務所の移転に伴い組合の休憩室を廃止できるのかなど微妙なケースもありますし,予期に反して不当労働行為に該当してしまわないように,その都度弁護士などの専門家に相談されることをお勧めします。
弁護士からのアドバイス
大栗法律事務所では,組合からの結成通知書後の初動対応から団体交渉,民事裁判まで,会社側の立場から,組合対応を多く取り扱っております。
具体的には,以下のようなサポートを行うことが可能です。
- 団体交渉の代理人対応(団体交渉への同席・回答書の作成を含む)
- 労働委員会,民事訴訟,行政機関の手続における代理人対応
- 組合対応や労務管理を含む継続的なサポート(顧問契約)
団体交渉の対応で困っている経営者様は是非大栗法律事務所までご相談ください。