東京弁護士会所属

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団体交渉でやってはいけないこととは?やってはいけない10の事項を企業側弁護士がわかりやすく解説!

団体交渉

団体交渉を控えている経営者様へ

団体交渉は、労働者と使用者間の力関係のバランスを取るための重要な手続きです。しかし、団体交渉の手続きや法律に詳しくないために、企業側が意図せず不当労働行為とみなされる行為をしてしまうケースが少なくありません。他方で、不当労働行為になることを注意するあまり組合からの勢いに飲み込まれてしまい必要以上に組合からの要求に応じてしまい労使間のバランスが失してしまい、その結果会社経営に影響を与えてしまう場合も少なくありません。本記事では、企業側弁護士の視点から、団体交渉で企業側が特に注意すべき事項や会社が陥り易い事項を「やってはいけない10の事項」としてわかりやすく解説します。

  1. 団体交渉とは何か

団体交渉とは、労働組合などの労働者の代表者と使用者との間で行われる、労働条件その他労働関係に関する事項についての交渉のことを指します。労働組合が使用者に対して、賃金引上げや労働時間の短縮といった労働条件の改善を求めたり、職場環境の改善を求めたりする際に、この団体交渉という手続きが用いられます。団体交渉は、労働者の権利を守るための重要な手段であり、使用者と労働者が対等な立場で話し合い、合意形成を目指す場となります。

団体交渉の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

団体交渉・労働組合対応とは?団体交渉の基礎知識と実践的な対応戦略について会社側弁護士が解説!

  1. 不当労働行為と団体交渉の関係

労働組合は、労働条件の改善などを目的として団体交渉を行います。しかし、会社側が団体交渉を拒否したり、団体交渉において不誠実な対応をしたりするなどの行為は、不当労働行為に該当する可能性があります。

不当労働行為の種類

不当労働行為は、労働組合の活動を阻害する行為全般を指し、大きく分けて支配介入と不当労働行為に分かれます。主な種類は以下の通りです。

種類

内容

具体例

支配介入

労働組合の運営に介入したり、労働組合の結成・加入を妨害する行為

使用者側が、特定の労働組合への加入を強要したり、労働組合の役員を選挙で選出させないように圧力をかける行為

団体交渉拒否

正当な理由なく団体交渉を拒否する行為

労働組合からの団体交渉の申し入れに対して、使用者側が理由を示さずに拒否する行為

不利益取扱い

労働組合に加入したことや、団体交渉で使用者側に反対する意見を述べたことを理由に、労働者に不利益な取り扱いをする行為

労働組合に加入した労働者を、昇進や昇給で不当に差別する行為

会社側がこれらの行為を行った場合、労働組合は労働委員会に救済を申し立てることができます。 

労働委員会は、不当労働行為が認められた場合、会社側に団体交渉の応諾や差別的取り扱いの是正などを命じることができます。また、会社側が命令に従わない場合は、罰則が科されることもありますので注意が必要です。

他方で、上記のとおり、不当労働行為にあたることを過度に警戒してしまい、労働組合からの要求事項を鵜呑みにしてしまうことにも注意が必要であり、いかなる行為が不当労働行為に該当するのかを正確に理解しなければならず、団体交渉を進めにあたり、不安材料が多いようであれば、企業側での団体交渉に経験豊かな弁護士に相談されることを強くお勧め致します。

団体交渉における不当労働行為とは?その種類と具体例について弁護士がわかりやすく解説!

  1. 団体交渉で企業側がやってはいけない10の事項

組合の要求どおりの条件で団体交渉をする

会社が組合からの団体交渉要求を拒否することは不当労働行為に該当しえます。しかしながら、組合から要求された、日時・場所・時間どおりに団体交渉を実施しなければならないというものではありません。会社において、組合から指定された日時等に団体交渉が実施できない場合には、日時を変更することは可能です。もっとも、この場合でも、実質的には団体交渉拒否であるとみられないように、日時・場所・時間・参加人数等を組合と誠実に協議する必要があります。

就業時間中に団体交渉を開催する

就業時間中に団体交渉を行う会社はよく見受けられますが、原則として、団体交渉は就業時間外に行うべきです。

就業時間中に団体交渉を行うとなると業務を中断しなければならないだけではなく、本来無給なはずの労働組合活動に賃金が発生してしまう可能性があります。また、団体交渉を就業時間中に開催することが慣例となれば、これを会社側が一方的に変更することは不当労働行為に該当する可能性があります。

社内の施設や労働組合事務所を使用して団体交渉を行う

組合は、団体交渉の場所として社内施設や労働組合の事務所を指定する場合が多いです。当事務所としては、会社の規模やこれまでの組合との関係、当該組合の性質にもよりますが、不当労働行為を回避する観点や会社が組合からの過剰要求を受け要らざるを得ない状況を回避するため、時間を区切っての貸会議室で団体交渉の実施を提案することがあります。

元社員であることを理由に団体交渉を拒否する

たとえ交渉対象者が元社員であっても、在職中の労働条件に関する事項であれば、団体交渉に応じる義務があります。元社員だからといって一方的に拒否することはできません。

訴訟中であることを理由に団体交渉を拒否する

訴訟と団体交渉は別の手続きです。訴訟中であっても、団体交渉を拒否することはできません

上部団体の役員の出席を拒否する

労働組合は、労働組合法上、上部団体の役員を団体交渉に同席させることができます。企業側は、正当な理由なくこれを拒否することはできません。ただし、出席者の範囲については、事前に協議することが重要です。

録音録画を一方的に禁止する

録音録画は、交渉内容を正確に記録するために有効な手段です。一方的に禁止することは組合との関係が必要以上に悪化してしまうケースが多く、避けるべきです。ただし、プライバシーや企業秘密保護等の観点から、事前に組合とルールを定めておくことが重要です。

不当な要求を受け入れてしまう

不当な要求を受け入れることは、他の従業員との不公平感を生み出す可能性があり、長期的には企業にとって大きなマイナスとなる場合があります。不当労働行為を恐れて、組合からの過剰要求に迎合することはさけなければなりません。組合からの要求に対して、これを拒否した場合に不当労働行為に該当するか否かの判断に迷う場合があり、そのような場合には、企業側団体交渉の経験が豊富な弁護士にご相談されることをお勧め致します。

要求どおりに労働組合からの書類にサインしてしまう

提示された書類の内容を十分に理解しないままサインすることは非常に危険です。内容をよく確認し、その場では内容を正確に理解できない事項や調査が必要な事項などその場で判断ができない場合には持ち帰って検討することとしてその場でサインしてしまうことは極力控えましょう。不当労働行為に当たるのではないかと過剰に心配し、組合の要求に迎合してしまうのは非常に危険です。判断に迷うようであれば、企業側での団体交渉の経験豊富な弁護士にご相談されることをお勧めします。

組合員に組合を辞めるよう説得する

これは明白な不当労働行為です。組合員の組合活動に対する不当な干渉は、法律で厳しく禁止されています。禁止されていることはわかっていても、信頼している部下との飲み会の席などで話の流れで組合に所属する意味や理由などを聞いて組合をやめた方がよいなどとしつこく話してしまうことがあるかもしれませんが、不当労働行為に該当し得ますので極力注意が必要です。

団体交渉でお困りの方はこちら

  1. 企業側弁護士の役割

団体交渉において、企業側弁護士として提供できる主なサービスは以下のとおりです。

役割

内容

法的アドバイス

団体交渉の手続きや法律に関するアドバイス、不当労働行為に該当する行為の回避策の提示などを行います。

不当労働行為への対応

不当労働行為の申立てを受けた場合の対応、労働委員会への出頭、和解交渉などを行います。

団体交渉の代理

企業の代理人として団体交渉に出席し、交渉戦略の立案、組合との交渉を行います。

就業規則等の作成・変更

就業規則や労働協約の作成・変更をサポートし、法的な問題がないかを確認します。

  1. 団体交渉の事例紹介

ここからは、当事務所が代理人として団体交渉に出席したことで円滑に解決した団体交渉の事例をいくつか紹介します。具体的な状況を理解することで、団体交渉への準備をより効果的に行うことができます。

賃金引き上げの交渉

【業種】 製造業

【要求内容】賞与の引き上げ要求

【解決内容】組合要求の3分1以下の賞与引き上げで解決

労働条件の変更に関する交渉

【業種】 運送業

【要求内容】会社側の労働条件の変更申し入れに対して、組合は不利益変更に当たるとして拒否し、その後団体交渉に発展。

【解決内容】組合は、会社からの変更要求を受け入れ解決

労働時間の変更交渉

【業種】 IT企業

【要求内容】会社側は労働時間の変更を行ったところ、数名の社員がユニオンに駆け込み、ユニオンから団体交渉要求

【解決内容】会社側が誠意をもって団体交渉を重ね、ユニオンに駆け込んだ社員が一定の条件で退職することになり、その後ユニオンからの団体交渉要求はなくなった

福利厚生の変更に関する交渉

【業種】 運送業

【要求内容】会社側は福利厚生の変更を検討していたところ、組合から福利厚生の変更は認められないとして団体交渉要求

【解決内容】変更の必要性とその理由を法的根拠に基づいて説明し、ほぼ会社の要求どおりに解決

就業規則の改定交渉

【業種】 運送業

【要求内容】会社側は就業規則の変更を検討していたところ、組合から不利益変更に当たるとして就業規則の変更は認められないとして団体交渉要求

【解決内容】変更の必要性とその理由を法的根拠に基づいて説明し、不利益変更にあたり得る部分を修正するなど柔軟に交渉し、解決

賃金体系の見直し

【業種】 宿泊業

【要求内容】会社側は賃金体系の見直しを検討していたところ、見直しすることにより不利益を受け得る社員がいるとして、組合から団体交渉要求

【解決内容】不利益を受け得る社員に対して、緩和措置を講じるなどして組合と妥結

労働組合活動に対する対応

【業種】 小売業

【要求内容】管理監督者として勤務していた社員が管理監督者にはあたらないとして、ユニオンに駆け込み、ユニオンから団体交渉要求

【解決内容】団体交渉を重ね労働基準法等に基づき管理監督者であることを粘り強く説明したが妥結に至らず、団体交渉が不誠実であったなどとして労働委員会に申し立てられたが、労働委員会において不当労働行為ではないと判断され、当該社員とは退職を前提とした和解が成立

  1. まとめ

この記事では、団体交渉において企業側がやってはいけない10の事項を解説しました。企業は、労働組合との団体交渉を法令に基づき誠実に行う義務があります。だからといって、不当労働行為に該当するのではないかと過剰に恐れて、会社経営に悪影響を及ぼすほどに過剰に組合から要求に応じる必要はございません。組合対応に慣れていないからといって必要以上に恐れるのではなく、法律に従い冷静に対応し、その判断が難しい場合には、企業側での団体交渉の経験豊富な弁護士にご相談ください。

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